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TRIVE NINE

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NOVEL

イラストノベル-チヨダトライブ編- 公開!

鳳家が秘密裏に管理するXBプレーヤー養成所。
そこで僕たちは今日、決戦を迎える。

 

カズキ  「結局、僕らふたりだけになっちゃったね……」

 

ベンチで準備を整える王次郎へ向け、僕は白々しく声をかけた。
まるでそうすることが僕らにとって、今も自然であるかのように。

 

カズキ  「でも、王次郎には負けないよ?」

 

さわやかな対話。彼の動きがぴたりと止まった。
返事はないけど、僕の言葉が届いたのがわかる。

 

王次郎  「……」

 

でも王次郎はベンチから立ち上がり、控室を出て行ってしまう。
終始、無言のままだった。

 

カズキ  (……無視、か)

 

まあいいさ。今のはほんの軽い、挨拶程度のジャブなのだから。

 

——決戦はもう、僕の中では始まっている。

 

/////////////////////////////////////////////

 

同じ養護施設で育った僕と王次郎は、兄弟みたいなものだった。
そして僕らを結びつけたのは、育った環境なんかじゃなく、XBを好きな気持ちだ。
XBのグローブやバットが鳳家から養護施設へ送られてくる前から、僕と王次郎はふたりでXBの練習を始めていた。

 

王次郎  「カズキ。今日も速いボールの投げ方、教えてくれる……?」

 

昔の王次郎は引っ込み思案だったけど、誰よりもXBが好きだった。
だからXBが上手な僕を慕っていて、彼は僕の言う練習法をなんでも素直に実行した。
僕も王次郎にXBを教えている時間は居心地がよくて、気づけば僕たちは一緒にいた。

 

けれど……ネオトーキョー国の国王——鳳天心が、それをぶち壊したんだ。
僕らを繋いだXBは、あいつによって、力ずくで形を捻じ曲げられてしまった。

 

僕たちはXBプレーヤー養成所に連れ去られ、鳳家の厳しい監視のもと、後継者になるべく、勝つためだけのXBをひたすら叩き込まれることになった。
見込みのない他の後継者候補たちは、鳳天心によって、容赦なく切り捨てられていく。
心も身体も疲弊していく日々の中で……やがて王次郎は自分を守るため、その心を閉ざしてしまった。

 

王次郎  「……ここでは強い人しか生き残れない」
王次郎  「仲間ごっこなんか、してる場合じゃないんだ……」

 

優しかったはずの王次郎が、疲れきった冷たい目でそう言ったのを、僕は忘れない。

 

/////////////////////////////////////////////

 

今日は、今日こそは、王次郎の心を開いてみせる。
彼の心を取り戻し、こんな場所から救い出してみせる。
そのために僕は、命がけの戦いを、決勝戦まで勝ち抜いて来たのだから。

 

神木  「次のゲーム……31番対74番で、いよいよお世継ぎが決まります」
天心  「31番……青山カズキ、やはり生き残ったか」

 

決戦の場を一望できる2階に、鳳天心と、秘書である神木結衣が立っているのが見えた。

 

天心  「鳳の名を継ぎ、XBを通してネオトーキョー国にその名を轟かせるに相応しい」

 

カズキ  (……みたいなこと、言ってるんだろうね)

 

あちらの声は聞こえてこないが、そのくらいは簡単に想像が付く。

 

残念でした。僕の目的は、王次郎に勝って鳳家の後継者なんかになることじゃない。
戦いの中で、純粋にXBを愛していた、かつての王次郎の心を取り戻させることだ。
そのためには——XBを通しての対話しか、ないと思っただけだ。

 

カズキ  (やれやれ……我ながら、なんて遠回りな計画なんだろう)

 

ちゃんと話を聞いてもらいたいだけなのに、ここまで手間がかかるだなんて。
王次郎と一緒にこのゲームをぶち壊しにしたら、あとで文句を言ってやろう。

 

カズキ  「遠慮なく投げなよ」
王次郎  「……」

 

僕はビームバットを手に、マウンドの王次郎と向かい合う。
彼の凍りついた心を溶かすには、まずXBを好きだった頃の記憶を思い出させる必要がある。
そのためには、昔のように王次郎よりもXBが上手で、自信満々な態度であらねばならない。

 

王次郎は静かに振りかぶり、ボールを……投げた!
当たれば確実に致命傷に至る豪速球——コースも危うく、ギリギリのところを狙ってきている。
昔の王次郎じゃ考えられない成長ぶりだ。僕はそのことを、純粋に嬉しく思った。

 

カズキ  (だけど、このくらいの球で——やられる僕じゃない!)

 

ビームバットを振り、真芯でボールを捉える。
打球が大きく飛んだのを確認すると、僕はバットをその場に転がして、一塁に向かって走り出した。
だが、王次郎も難なく打球をキャッチして、素早く僕に追い付いてくる。

 

カズキ  (さあ——バトル開始だ!)

 

王次郎は一切の手加減なしに、弾丸のような拳や蹴りを繰り出す。
その力も、最後にちゃんとXBをしたときとは、比べものにならないくらい強くなっていた。

 

王次郎  「なぜ笑っている」

 

ふと、王次郎の声が聞こえた。
どうやら、たしかに僕の口元は緩んでいるみたいだった。
そうだろう。だってなんにせよ、久しぶりに王次郎と一緒にプレーするXBだ。

 

カズキ  「さぁ? 王次郎とXBをするのが、久しぶりだからかな?」
カズキ  「ああ——XBどころか、会話すらしてなかったっけ?」

 

僕は漏れそうになった感動を、皮肉に変換してみせた。

 

王次郎  「……」
カズキ  「昔はさ、こうじゃなかったよね。僕たち」

 

鳳天心たちには内容が伝わらないよう、至近距離で会話をする。
その間も王次郎は、思いやりのかけらもない拳を繰り出している。
僕は寂しさを覚えながらも、攻撃を受け流し続けた。
このチャンスを待っていた。ここからの会話が、僕にとって一か八かの勝負なのだ。

 

カズキ  「覚えてる? XBを始めたばかりの頃」
王次郎  「……」
カズキ  「よく公園で、日が暮れるまで練習したよね」
王次郎  「……」
カズキ  「あれから僕たち、随分強くなったと思わない?」
王次郎  「……」
カズキ  「今だったら、ふたりでここを抜け出して、新しいトライブを作るのも夢じゃない」
王次郎  「何を言っている」
カズキ  「約束の話さ。言っただろ。同じトライブで、一緒にプレーしようって」

 

王次郎の様子を見ながら、昔の思い出を語りかける。
彼の表情は変わらず、鬱陶しそうな表情を僕に向け続けていた。

 

王次郎  「言ったはずだ。仲間ごっこをしている場合ではないと」
カズキ  「そうかな? 僕はそうは思わない」
カズキ  「XBは、仲間と一緒にやる方が楽しいよ」
王次郎  「黙れ、それ以上無駄口を叩くな……!」

 

言い放つのと同時に、鋭い蹴りを入れる王次郎。
けれど、その攻撃に小さな動揺が混じっているのを僕は見逃さない。

 

王次郎  「仲間など、強くなるためには足枷にすぎん」
カズキ  「足枷、か。それじゃあ——」

 

このくらいじゃ、王次郎の考えが変わらないことはわかりきっている。
僕はXBを楽しみながら、彼に呼びかけ続け、かつ勝利する必要があるんだ。
王次郎の勝利に対する執着を壊し——再びXBの楽しさを、思い出させるために。

 

カズキ  「僕が塁を踏む方が早ければ、君の言うことは間違いだってことだ!」
王次郎  「……っ!」

 

王次郎の二度目の蹴りをすんでのところでかわし、その風圧が僕の髪を揺らす。
僕はその勢いで一塁の方に向き直り、力強く床を蹴って、身体を前に進めた。

 

騙したようで心苦しいけれど、僕にとってはそんな王次郎の動揺さえ計算の一部だ。
いくら強くなったとしても、昔の王次郎が消えてしまった訳ではない。
昔の記憶へ呼びかけることで、一瞬のスキを誘い、

 

そして——今の王次郎に勝利する!

 

カズキ  (いける!)

 

すべてが僕の計算通り、順調に進んでいる。
そう思ったときだった。

 

王次郎  「……ぬるいな」

 

耳元で、後方にいるはずの王次郎の声が聞こえた。

 

カズキ  「なっ——!?」

 

王次郎の拳が僕の脇腹にめり込んでくる。

 

カズキ  (こんなにも早く、追い付いて来るなんて……っ……!)

 

飛びそうになる意識を必死に繋ぎ止めながら、僕は床に倒れ込む。

 

カズキ  (くそっ……! 身体が、動かない……!)

 

立ち上がろうと拳を握るが、身体中に耐えがたい痛みが走る。
すると、頭の上から王次郎の声が聞こえてきた。

 

王次郎  「仲間も楽しさも、XBには不要。なぜそれがわからない」
カズキ  「……ッ」

 

王次郎の瞳は、変わらず冷え切っていた。
その瞳を見上げて……僕は自分の計算ミスを悟った。

 

王次郎  「…………」

 

認めたくない事実だった。
今の王次郎は……昔の記憶なんて一瞬で握りつぶせるほどに、強い意思を備えている……。

 

天心  「カズキ、貴様には失望した」

 

2階からマイクを通じて、王次郎をこんな風にしたクソジジイの声が聞こえ始めた。

 

天心  「鳳の名を継ぐに相応しい最強のXBプレーヤーと見込んでいたが、とんだ買いかぶりだったようだ」
天心  「74番……いや、王次郎」
天心  「そいつの腕を折れ。二度とXBができぬようにな。負け犬はここには必要ない」

 

失敗に終わった僕の計画も、空回った気持ちも、こいつにとってはどうでもいいことなのだろう。
しわがれた声を聞きながら、僕の脳裏に、今までに消されていった候補生たちの顔が流れていった。

 

/////////////////////////////////////////////

 

意識を取り戻したときには、僕は牢屋の中にいた。
身をよじって立ち上がり、破壊された左腕を眺める。

 

……僕は利き腕と、王次郎を取り戻すチャンスを同時に失った。
これでは、もうまともにXBはプレーできない。
仮に形だけ取り繕ったとしても、今の王次郎に勝つことなんて無理だ。

 

カズキ  「くそっ……!」

 

痛みと共に、言いようのない絶望感が襲ってきた。
何か、挽回のプランはないのか。
考えろ。考えろ。考えろ!

 

カズキ  「………………」

 

——何度繰り返し言い聞かせても、弾き出される答えは同じだった。

 

もう、無理だ。

 

カズキ  「……ふふ、くくくく…………」

 

果たして、涙は流れているのだろうか。
もう、それすらもどうでもいい。

 

カズキ  「あはははははははっ!!!!」

 

ひとしきり、虚しく笑ったところだった。
カツン、と。
僕が閉じ込められている地下牢に、誰かの足音が近づいてくる。

 

神木  「あら。思ったよりご機嫌みたいね」

 

現れたのは鳳天心の秘書、神木結衣。

 

カズキ  「……やあ。負け犬の顔でも見に来たのかい?」
神木  「ええ。個人的に、あなたのことはずっと気になっていたから」

 

神木は、鉄格子越しに僕の顔を見つめる。

 

神木  「あなた、後継者を決める大事なゲームを、ぶち壊しにすることばかり考えていたでしょう? 小さな頃からあんな環境に入れられて、やっと解放されるかもしれないってときに……ひょっとして、思っていたよりも馬鹿なのかしら?」
カズキ  「僕にとっての解放は、ネオトーキョー国王の後継者になって、君みたいなクソ女を秘書につけることじゃないからね」
神木  「そういう強気な言葉は、後継者争いに勝ち残ってから言うものよ」

 

神木の言葉は正論だった。
結局僕は、何ひとつ目的を達成できなかったのだから……。

 

カズキ  「でも、よかったね。勘のいい僕が勝ち残らなくて。もし、僕が天心の後継者になっていたら、君もやりづらかったでしょ?」

 

神木の眉がぴくりと動く。
彼女とは、特別付き合いがあった訳ではなかったが、ただの好奇心で敗者に会いに来るような人間でないことはわかっている。今の一言で彼女の仮面が少しだけ剥がれるのを僕は見逃さなかった。

 

神木  「……何が言いたいのかしら?」
カズキ  「とぼけても無駄だよ。君、表情がいつもうさんくさいんだよね」
カズキ  「君みたいなヤツが天心の野望に付き合ってるのはあまりにも不自然だ。天心を裏切ろうと企んでいることは、簡単に想像が付くよ」
神木  「そんなことはないわ。私は、天心様に忠誠を誓っているもの……今は、ね」

 

今は……。
取り繕った笑顔の裏に、神木が野心を垣間見せる。

 

カズキ  「まあなんだっていいさ。僕には関係ないことだし、天心を裏切りたいなら裏切ればいい」
カズキ  「でも……王次郎に危害を加えることだけは、絶対許さない」
神木  「ふふ、本当にお友達思いなのね」
神木  「安心なさい……今のところ、王次郎様に手を出すつもりはないわ。王次郎様には、神谷瞬を潰してもらわないと」
カズキ  「神谷瞬……?」

 

聞き馴染みのない名前に思わず聞き返してしまった。
そんな名前の人間は、養成所に存在しないはずだ。

 

神木  「ネオトーキョーで最強と名高いプレーヤーよ。神谷率いるミナトトライブを潰さない限りは、他のトライブを屈服させることはできない……確実に潰す必要があるの」
カズキ  「……そうか。その手があったか」

 

狭い養成所の中に長年閉じ込められていたせいで、見落としていた。
XBプレーヤーは、王次郎と僕のふたりだけじゃない。外に出れば、大勢のXBプレーヤーがいる。
そして、その中には、XBを心から楽しむ同志がいるかもしれない。

 

神木  「あら、急に黙ってどうしたの?」
カズキ  「いや。自分の視野の狭さに、うんざりしていただけだよ」

 

僕は神木の追及を避けるため、自分から話を巻くことにした。

 

カズキ  「ペラペラ話してくれたってことは、僕は消されるのかな?」
神木  「話が早くて助かるわ」

 

人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべて、神木は答えた。

 

神木  「ネオトーキョー国の後継者になられた王次郎様に、これ以上余計なちょっかいを出させないために……あなたを処刑します」
神木  「青山カズキ。次にこの牢屋から出られるのは、処刑場へ向かうときよ」
カズキ  「なるほどね。じゃあ少なくとも、今じゃない訳だ」
神木  「慎重かつ適切な段取りというものがあるのよ。何ごとにもね」

 

神木は後ろを振り向いて、地下牢を去ろうとする。

 

神木  「王次郎様の未来のために死ねることを、光栄に思いなさい」

 

そんな、嫌味ったらしい捨て台詞を残しながら。

 

カズキ  「……君の企み、失敗するよ」

 

だから、そう言ってやった。

 

神木  「…………」

 

立ち止まった神木。
僕は小さな笑みを浮かべ、ゆっくりと鉄格子に近づく。

 

——神木が後ろを振り向いたとき、ポケットから何かの紐が輪っかになって、わずかに飛び出ているのが見えた。
あの紐の先にあるものが、僕の予想通りなら——おそらくまだ、僕の望みは繋がっている。

 

カズキ  「君の浅ましい企みに、僕が気付いてなかったとでも思う? こんなこともあろうと、予防線を張っておいたんだ」
神木  「…………」

 

神木の表情は冷たいものだったが、僕はそのまま話し続けた。

 

カズキ  「おっと……怖い顔。美人が台無しだよ?」

 

もっとも、この性悪女を美人と思ったことなんて一度もないけどね。
今は彼女を煽ることさえできれば、内容なんてなんでもいい。
たとえ、それが何から何までデタラメでも。

 

カズキ  「僕が死んだら天心に手紙が届くようになってるんだ。神木結衣は、要注意人物。いつか謀反を起こすだろうって……」
カズキ  「困ったね。あの手紙を天心にでも読まれたりでもしたら、君の計画は台無しだ」

 

僕は鉄格子の隙間から、折れた左腕を得意げに伸ばしてみせた。
痛みがわずかに走ったが、神木に気取られないように無視をする。

 

カズキ  「どう? 僕が死んだあとに企みをぶち壊しにされるくらいなら、ここで僕を助けてみない? なんなら君の計画を手伝ってあげても——」

 

言いかけたそのとき。
神木が急にこちらへ近づいてきて、僕の左腕を捻り上げた。

 

カズキ  「……ぐッ!」

 

激しい痛みと、神木の非道さに、思わず悲鳴を上げそうになる。

 

神木  「あなた如きが……」
神木  「この私を、利用できるなんて思い上がらないことね」

 

神木は弾き飛ばすように手を離すと、そのまま長い髪を翻し、地下牢を去っていった。

 

カズキ  (……容赦ないな)

 

僕は赤く腫れる左腕を抑えつつ、彼女が地下から出て行くのを見送ったあと——

 

カズキ  「でもよかった。なんとかなったみたいだ」

 

ぎゅっと握っていた右手の手のひらを開く。
神木のポケットから奪い取った鍵を見つめて、僕はニヤリと口元を緩めた。

 

/////////////////////////////////////////////

 

——養成所を脱出したあの日から、数週間後。

 

僕はミナトタワーの展望台に登っていた。
王次郎から負わされた傷は癒えてきたものの、左腕のギプスはいまだに外すことはできない。XBなんてもってのほかだ。

 

カズキ  「……でも、今の僕には希望がある」

 

あの頃の僕と王次郎のようにXBを心から楽しみ、王次郎に「XBを楽しむ心」を取り戻させてくれる可能性を持つ人たちを見つけることができたから。

 

ビームバットを簡単に使いこなし、XBのカリスマとして名を馳せる神谷瞬。
そんな神谷の豪速球を受け止め、トライブをまとめ上げる優秀な副リーダー、有栖川さおり。
少々お調子者ではあるが、トライブを盛り上げるムードメーカーであり、後輩とも気さくに打ち解ける三田三太郎。
大きな身体と力を持ちながらも、温厚な性格でトライブを優しく支える大門愛海。
そして、神谷瞬が力を見出し、日々成長し続けている期待の新人、白金ハルとタイガ——。

 

彼らを見たら、王次郎はまた「ぬるい」と言うかもしれない。
けれど、僕が目指した仲間の形が、そこにあるような気がした。
時にぶつかりケンカすることがあっても、共にプレーする仲間を信頼し、XBを心から楽しむ彼らであれば、自分と一緒に王次郎を救ってくれるかもしれない——。

 

自分の判断が正しいのか、本当にこれで王次郎の目を覚ますことができるのか、正直わからない。けれど、今は彼らの力を信じたい。だから……。

 

カズキ  「待ってて、王次郎」

 

チヨダの天守閣を睨みつけ、僕は踵を返した。
まずはミナトトライブに……リーダーの神谷瞬に会わなくてはならない。
新しい物語は、きっとそこから始まるはずだから。